私達が訪れたのは何も障がい者や高齢者の施設だけではありません。幼稚園から国民学校、そして高校まで一連のデンマークの教育現場も見て回りました。そしてそこで見た事の中にその答えに辿り着く鍵が隠されていました。

 授業では生徒は積極的に自由に意見を出し合います。周囲も例え自分と考えが異なっていたとしてもそれを受け入れます。そしてその中から本当に大事なことを見つけ出していくといった感じで、要は他を否定しないというのが基本にありました。

 学校教育の中でそのような態度が身についた彼らは障がい者であってもその人の良さを見つけ、それを肯定して一人の人として付き合っていきます。一方、障がい者や高齢者のような社会的弱者であっても自分の得意とする部分を発揮して周囲からもそれを認められることで自信を持ちます。その結果、彼らはポジティブで明るく生きることが出来るという訳です。

 デンマーク人の態度は寛容です。細かなことに目くじらをたてたりしません。日本なら何かを分ける時に、全員が同じ量になるように分ける事を「平等」と呼びますが、デンマークでは一人一人事情が異なるので、量は必ずしも等しくなる必要はないと考えます。つまり量的には差があっても皆が納得できればそれで良いというのがデンマークでの「平等」です。このような考え方のできる彼らだからこそ、高い税金でみんなが支え合う社会の実現ができたのだと思いました。

 日本が真の福祉国家を目指すなら、デンマークの様に博愛の精神を持ち真の民主主義理解し、自由を愛する人を育て、次に制度を構築し、これら両輪が整った時に初めて真の社会福祉国家が誕生できるのだということを学ぶことができました。



 


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