今回の研修の目玉の一つが北フュン島高校との交流でした。ホームステイも同校の生徒宅(引率教員は校長先生宅)でしたし、また授業にも参加してデンマークの授業を体験しました。普段は勿論デンマーク語で授業をしているわけですが、私達が行くと英語で授業をしてくださいました。でも驚く事に、授業中の言語が英語に切り替わってもそれで不便を感じている生徒は誰もおらず、皆流暢な英語を話していてとても驚かされました。国民学校で英語には特に力を入れていると話されていたことが正にこのことなんだと実感することができました。

 授業中、自分達で考える時間があれば何人かの生徒は教室を出ていきます。日本ならば、「何処に行くんだ?」と注意されそうな話ですが、デンマークでは彼らは静かな廊下で真剣に考えたいだけのことで、教室から出て行ったからといって別に廊下でサボっている訳ではなく、真剣に学んでいる姿に感銘を受けました。さらに発言する際にもただ答えを言うだけでなく、何故そのように考えたのか理由もきちんと述べていたことがとても印象的でした。これは以前から言われていることですが、日本は答えそのものを重視する教育なのに対し、欧米は考え方、道筋(論理的根拠を基にした)を重視する教育が特徴だということと合致してました。また、一人一人が大人びていて、子供っぽい茶々を入れたりするような幼い言動は全く見られず、ちょうど日本の大学生のような雰囲気だった事に驚きを覚えました。

 デンマークの授業で印象的だったことの一つにITCの活用が挙げられます。生徒は自分のPCに先生が示しているのと同じファイルをダウンロードします。日本のようにいちいち板書する手間が省け、その分を内容の思考に費やす事ができます。つまり生徒と教師が一つの命題に対して一緒になって解決のための働きかけをすることで全体で学び、解決の際も充実感を共有することができます。見ていて、このような授業をしてみたいとうらやましく思えました。



  


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