三日目の午前は国民学校を訪問しました。これは日本で言うところの小学校と中学校の一貫校で、義務教育の場でもあります。デンマークでは制服という概念がなく、一つの学校の中で進級していくために日本の様に小学校と中学校での境のようなものはありません。

 特に力を入れているのはデンマーク語で、理由は全ての教科指導がデンマーク語で行われているため、国語であるデンマーク語の理解なくして教科の理解が無し得ないことからきているそうです。また同時に英語教育にも熱心で、1年生から学んでいるそうです。デンマークは小さな国なので、デンマーク語自体も他に話している国は無く、デンマーク語だけにこだわっていたのでは将来の選択幅が限られてしまうためだそうです。しかし英語は世界で通用する言語なので、英語力を身につけることで世界が働く場になるということで英語には 力を入れているそうです。

 デンマークでの義務教育で日本と違っているのは、幼稚園から来る子供達のために、0年生というシステムがあることで、いきなり小学校の授業に入るのではなく、慣れるための期間が用意されていて、1年生の授業にスムーズには行っていくことができるそうです。また、9年生までの学習が終わっても本人が希望すればさらにもう一年追加して10年生というものをやってもいいとのことで、個人の自由な選択が最優先されているそうです。またデンマークでは日本のようなテストはなく、テストの結果で人生が左右されるようなことは基本的になく、あくまでも本人が何を学びたいかが基本となるそうです。

 デンマーク人はとても自立心が強いと感じましたが、その理由を見つけることができました。それはデンマークでは教育委員会がなく、その学校がどのような経営をしていくかは各学校が独自に判断して決めて行くのだそうです。そのために、運営委員会というものを開き、そこで委員が話し合って決めるそうなんですが、7名からなる委員のうち2名は生徒の代表がメンバーに入るのだそうです。そのために事前に生徒だけの会議を開き、全校生徒の意見を集約してそれを運営委員会で話し合うため、子供の頃から民主主義を実践的に習得することができ、大人の委員も相手が子供だからといって相手にしない様な態度はとらないそうです。このように一人一人を尊重する態度はこのような学びの場を通じて身について行くという事を知ることができました。

 デンマークの授業では生徒はとても活発でした。日本の様に答えが分かっていても手も挙げずにということはなく、皆積極的に発言するし、個々の発言を尊重する雰囲気がありました。授業は居るだけの場ではなく参加する場であるという雰囲気が伝わってきました。



  


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